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  • 執筆者の写真petomoni

petomoni(ペトモニ)寄付取材 Vol.1

無理をしないための決断力と温かな人の輪

~ところざわ犬猫支援の会「ねこ日和」~


今回代表の高野とpetomoniスタッフ天野が支援の一環として訪問したのは、所沢市久米にある保護猫たちとの触れ合い広場、「ねこ日和」。代表の鈴木エミ子さん(以下、鈴木さん)は、15年前に自宅で動物の保護を始め、2014年に譲渡型猫ふれあい広場「ねこ日和」をオープン。一昨年リニューアルでフロアを拡大した。これまでに里親に出した猫は1,500匹を超える。

 明るい日差しが差し込む部屋で、猫たちが自由に過ごす中、鈴木さん・スタッフの中山チエ子さん(以下、中山さん)・松本万里子さん(以下、松本さん)にお話しを伺った。

無理のないやり方で 良い輪を広げる


高野: お久しぶりです。こちらには以前に一度、取材で伺ったことがあるんですよね。あの時の楽しい雰囲気が印象に残っていて。動物保護施設の中には、優しさから背負いすぎてしまい、シビアな状況に追い込まれているところも多い。そんな中、こちらはとても明るくて、ぜひまた来たいと思っていました。

明るく清潔感があるスペース。猫たちも自由に部屋を行き来する


鈴木さん: また来ていただいて嬉しいです。


高野: スタジオタカノのアニマル事業『petomoni(ペトモニ)』では、「シアワセの連鎖~幸せな動物たちから、幸せを探している動物たちへ」をコンセプトに、ペットの撮影会の収益の一部を動物愛護団体に寄付するなどの支援を行っています。動物看護師である天野と共に、さまざまな場所に赴いて活動を広げています。


鈴木さん: そうなんですね


高野: こちらはリニューアルされて、ずいぶん広くなりましたね。


鈴木さん: そうでしょう。前は手狭なうえに、暗かったので。隣の店舗が空くと聞いて、「ぜひ」とお願いしたんです。窓が大きくて、明るいのが良いでしょう。


高野: 本当に、明るい。猫たちが幸せな環境だということが一目でわかります。こちらに来るとなぜか元気になるんですよ。どうしてでしょうね。


鈴木さん: どうしてでしょう(笑)。ただ一つ言えるのは、とにかくここでは「良い方たちがどんどんつながっていく」ということ。中心は私だけど、一人では決してできません。日々新しい出会いがあるから、体がしんどいことはあっても、楽しくて悩みがない。幸せだなあと思います。

姿勢正しく、シャキッと朗らかな鈴木さん


天野: すばらしいですね。松本さん、中山さんがこちらに関わるようになったきっかけは?


松本さん: 自分が飼う猫を探しに来て以来、ずっとここに通っています。猫を迎えた後も、鈴木さんと話しをするために来るようになって。鈴木さんは、猫たちの「おかあさん」でもあるけれど、私にとっても母親のような存在です。本当に、尊敬しています。

松本さん。遊びにいらしたお客さんにも優しくお話ししていた


中山さん: 私は、職場に居ついた猫のことで鈴木さんに相談したのがご縁の始まりでした。「避妊手術をうけさせたいけれど、どこで何をしたら良いのかわからない」と言うと、鈴木さんは「いいよ」の一言で話を聞いてくれました。仕事をリタイアした後は、ボランティアとして関わっています。

中山さん。生まれたばかりの子猫たちにも温かなまなざしを注ぐ


高野: 本当に自然な形で人が集まってくる。鈴木さんのお人柄もあるんですね。こちらは住所もオープンにしていますね。動物保護団体では、夜のうちに猫を置いて行ったり、クレームが入ったり、ということを避けるために住所を公表していないところも多いですが、そういった心配はありませんか。


鈴木さん: 理由はわかりませんが、これまでに置き去りにされたようなケースはほとんどありません。住所を公表しているのは、困ったらまずは相談してほしいから。相談してもらえれば、一緒に考えて、何か手を打つことはできるので。


高野: ひとつひとつ丁寧に説明していくことが大切ということですね。ネガティブな要素を避けようとして、閉ざさない。ここでは普段からそれができているから、置き去りも少ないんでしょうね。


鈴木さん: 相談が来たら、100%は無理だけれど、できる範囲でやっています。


天野: その「範囲」とは?


鈴木さん: (ここに迎えるという意味では)猫がストレスなく居られるくらいの頭数ですね。猫は群れて暮らす動物ではないので。

部屋中に張り巡らされたさんぽみち。猫たちの動きにはくつろぎが見える


猫を里親に渡すとき


高野: 里親に出せるかどうかを判断するときには、猫たちのどんなところを見るんでしょう?


中山さん: 遊びができるか、ですね。遊びに乗ってきたら、「慣れてきたな。もう少しだな」と思います。


高野: 出会いも多ければ、別れも多いですね。


鈴木さん: なかなか里親が見つからなくて長くここにいる猫には、やっぱり思いも強くなります。初めのころは、里親にお届けした後、車の中で号泣していました。最近は喜べるようになりましたけどね。


高野: 里親に出すことができるかどうかの基準はあるのでしょうか?最近では基準のハードルが上がって、里親になりたいけれど「手が出せない」といった問題も出てきているようですが。


鈴木さん: 始めたころは、100%ネット上のやり取りだったんです。ところが、少しずつ関係者が増え、フロアも広くなり、今ではほとんどの方が、まずここに来て実際に猫を見て、何度か通って決めてくださるようになりました。直接お会いすると人柄も見えてくるので、特に基準を設けたりすることはありません。


高野: 直接やり取りできるというのは、お互いに安心ですね。


鈴木さん: とはいえ、ペット不可の賃貸に住んでいたり、自分の生活に困窮したりしている状態では、猫を飼うことは難しいですよね。猫たちを最後まで責任をもって可愛がれるか、という意味では、年齢も考えなくてはいけないこともあります。必ず、私たちがお届けにあがって、飼っていただける状況かは確認しています。めったにないことですが、お届けに行った先で、お断りしたこともありました。


天野: 最後まで、猫たちの幸せを考えたゆえの決断なんですね。


動物に癒され、人にも優しくなれる場所


高野: 私は常日頃から、動物たちが幸せな世の中は、人間も生きやすい世の中だと思っているんです。


鈴木さん: そうですね。猫たちが幸せであることが一番ですが、猫によって人が幸せになる、ということもありますよね。最近は殺伐とした事件もありますし、心を癒してくれるものの存在は大切です。

安心して眠る猫


高野: 「動物と接するときには、非言語のコミュニケーションをとらなければならない。しかしそのやり方は動物だけでなく、人間同士でも役に立つ」といった話を聞いたことがあります。動物たちと触れ合って心に余裕ができれば、人に対しても優しくなりますね。


中山さん: それはありますよね。


高野: そういう意味では、動物を飼っていない人、事情があって飼うことができない人も、ここに来るといいですね。


松本さん: そうですね。いろいろな方が来てくださいます。先ほどこちらにいらした方は、飼われていた猫が亡くなったので、残ったペットフードを持ってきてくださったんです。


鈴木さん: きちんと事前に電話で確認してから、持ってきてくださっています。それもまた、ありがたいことです。

鈴木さんのもとには、次々と連絡が入る


天野: 保護施設宛てに大量のペットフードや物資を送られても保管しきれない、また本当に必要としている物が不足している、といった悩みも聞きます。善意の行為であっても、押しつけになってはいけないですよね。そうした面でも、こちらに関わる方々はお互いにしっかりとコミュニケーションが取れているのを感じます。


鈴木さん: ここにいた猫の里親さんの中には、定期的にその子の写真と寄付を送ってくださる方がいるんです。猫が亡くなった後までサポートを続けてくださる方もいますし、本当にありがたく思っています。


続けるための決断と「シアワセの連鎖」


高野: 心温まるエピソードがたくさんありましたが、困っていることはありますか?


鈴木さん: もう少し行政との連携を取って行けるといいなあ、と思っています。スペースの問題の他にも、ノミ駆除やワクチン接種などの負担もあるので全て受けられるわけではないのですが、頼みの綱のようにこちらに回されてしまうことがあります。


松本さん: 始めにここに相談があり、行政が間に入った結果、こじれてしまったケースもありました。協力しながら対応していけるといいなあ、と思います。


高野: 資金不足の問題は、どこの施設でも切実ですね。


鈴木さん: そうですね。私たちもなんとか方法はないかと考えて、4年前からチャリティコンサートを始めたんです。芸大の学生さんや二胡奏者の方にも出演いただいて、とても好評で。今年はすでに満席なんですよ(※編集注:6月30日に終了しています)。


高野: それはすごいですね!夢があるなあ。お話を聞いていて、鈴木さんが無理なく、時には思い切った決断をしながら舵を取り、スタッフの皆さんが愛情を持ってこの場を続けているからこそ、こうして「幸せ」が連鎖していっているのだなとわかりました。


高野・天野: 今日はどうもありがとうございました!


みなさん: ありがとうございました。

みんなで記念撮影! (左から 天野、鈴木さん、中山さん、松本さん、高野)


対談後、『petomoni(ペトモニ)』からねこ日和を運営する「ところざわ犬猫支援の会」さんに寄付金をお渡しした。

すでに満席だというチャリティコンサートなど、柔軟に「できること」を続けているうちに、人の輪が広がっていく「ねこ日和」さん。今後の活動にも注目していきたい。

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