petomoni(ペトモニ)寄付取材 Vol.3

専門家との連携で譲渡後もフォロー 

〜ペットと人が共に楽しく暮らせる社会のために〜


一般社団法人「動物共生推進事業」は、2015年の設立以来、動物の保護・譲渡活動をはじめ、子どもへの啓蒙(もう)活動や髙齢者の飼育支援、ボランティアネットワーク事業、輸血ネットワークの構築など、さまざまな活動を通して「ペットと人のより良い暮らしの創出」を目指している。


ペットの保護施設と病院が連携し、さらにトリミングサロンやペットカフェも運営する大きな仕組みに関心を持った代表の髙野とpetomoniスタッフの天野は、千葉県柏市に常設される譲渡会場「ペットと暮らそう」に足を運んだ。

代表の三本美栄さんは、新型コロナウイルスの影響や動物愛護法の改正案など、多くの問題も懸念される中、「いまの時代に合ったやり方」を前向きに模索する様子について、明るく話してくださった。

柏市にある里親広場「ペットと暮らそう」


持続可能な循環を作りたい


髙野: 今日お邪魔している「ペットと暮らそう」は、動物病院と連携する保護施設ですね。


三本: 一般の方が気軽に見に来ることができる保護施設はまだ多くありませんが、保護犬・保護猫を身近に感じ、関心を持ってほしいと考えて明るくオープンな施設にしました。


天野: 予約をしなくても見学できるのですか?


三本: 隣の動物病院の看護師がお世話を手伝ってくれているので、診療のタイミングでお待たせしてしまうこともありますが、ふらりと来て声をかけていただければ対応できます。ホームページを見て気になる子がいる場合は、前もって連絡をしていただければ、ゆっくりお話しできると思います。


天野: 見回すと、いくつか空いているお部屋がありますね。


三本: はい。ありがたいことに、最近続けて譲渡が決まり、近々4頭を新たに引き取る事になっています。


髙野: もともと動物病院やトリミングサロンをなさっていて、また別の場所ではカフェも運営されている。このように事業として複合的な形を構えている保護団体さんは、とても珍しいですよね。どのような経緯でこうした形になっていったのでしょう。


三本: 保護譲渡活動も、もとは動物病院を運営する株式会社「ファニメディック」の一事業でした。活動の幅を広げていくために一般社団法人「動物共生推進事業」を立ち上げ、動物病院やトリミングサロンの専門的な知識を集結することで、より充実したサポート体制を取っています。


私たちが目指すものとして「ペットと人が共に楽しく暮らせる社会」があり、仲間にはトリマー、トレーナー、そして獣医がいた。……となったら、それぞれを活かさない理由がなかったんですよね。


髙野: 私たちも、ペットの撮影会を通して動物保護団体の支援をする「petomoni事業」を、企業の活動として行っています。営利活動をしてお代をいただき、その一部を寄付に回すというスタンスで続けてきました。


社会を構成するにはお金が必要です。ボランティアだけでは活動継続が困難な時もあると思います。こちらは「きちんと回る仕組みを作っていることがすごい」というのが第一印象でした。すばらしい仕組みだと思います。


三本: この形を広げていければいいな、とは思っています。持続可能にするにはボランティアだけで終わらせず、きちんと続けるための循環を作らないと。各団体さんによって受け入れ基準などにはいろいろな考え方があり、尊重していますが、もう少し間口を広げていけると良いのではと思っています。

「動物共生推進事業」代表の三本さん


専門の医療とアフターケア


髙野: 保護された子がここに来てから里親さんの元へ行くまでの流れはどのようになっていますか?


三本: ここに来た子は、まず隣の動物病院で一通りの身体検査をしてもらって状態を確認します。さらに、毛のもつれや糞尿にまみれた状態の子も多いですから、シャンプーやカットをしたり、問題行動が見られる子は行動診療の専門医に相談したりすることもあります。保護施設は動物病院が併設されていますので、一匹一匹の日々の状態把握や性格など、ペースに合わせて寄り添いながら、環境に馴らしていきます。


ここで保護した動物たちについてはみな、譲渡時に血液検査の数値やレントゲン写真、治療したこと、今後どのような治療が必要になるかなどを報告書にまとめてお渡しています。保護される子たちは髙齢だったり治療が必要だったりして、健康な子の方が少ないくらいです。診断も治療も費用はかかりますが、問題があればきちんと完治させ、できる限りのケアをして送り出しています。


髙野: ここまでやれるところは、なかなかありませんね。


三本: 「譲渡したら終わり」ではなく、その後も里親さんや犬猫が困ることなく楽しく暮らしていってほしいという思いがあるので、「ここまで見てくれた」という安心感を持って迎えていただければ、と。


髙野: 教育と医療が整っていれば、コミュニティーが安定すると聞いた事があります。

逆に言えば、この二つを誰でも受けられないと、社会は育っていかない。動物も同じですよね。そのうちの一つである医療を整えるのは、大切なことですね。


三本: そうですね。その部分がすでにリソースとしてあったことは、ぜひ活かしていきたいです。動物の行動診療を専門とする獣医師もいるので、里親さんを対象にした保護犬保護猫セミナーを開催するなど、譲渡した後もフォローを続けています。


天野: アフターフォローも専門家にお願いできるのは、本当に心強いですね。


髙野: 保護動物を受け入れる際の条件はありますか?


三本: 多くの子たちが同じ空間にいるので、感染症を持っていると難しいですね。スペースの関係で、大型犬も難しいことがあります。とはいえ、事前にわかることはわずかですから、まずは引き取ってみる、というのが実情です。


以前、心臓病を持つチワワが来たことがありました。大学病院での手術が必要で治療費だけで100万円以上かかるということで、クラウドファンディングで募って治療を無事行い、いまは幸せに暮らしています。


天野: それは良かったですね!! 病院との連携があるので、受入れ不可の子が少ないというのはありがたいことです。アフターフォローも充実しているから、里親さんとの関係も良いのでしょうね。


三本: 里親さんは皆さん何度も足を運んで相談をした末に迎えることを決めていただく場合が多いので、私たちとしっかりした関係が築かれていると思います。「ここなら安心して決められる」と信頼していただけているので、良いお付き合いがつながっています。譲渡会のたびに遊びに来てくれる飼い主さんもいらっしゃって、嬉しいかぎりです。


「報告書」のレントゲン写真


輸血ネットワーク


天野: 事業の中に、「輸血ネットワーク事業」がありますね。


三本: 犬や猫には、人のような献血のシステムが存在しません。輸血が必要な時に、血液の手配ができないという理由で命を落とすこともあります。その状況をなんとかするために、輸血ネットワークを広げていきたいのです。連携している病院には輸血医療の権威の先生もいます。すでに「献血ドナー」登録の募集はしていますが、もっと認知を広げていきたいと思っています。


天野: うちの猫も以前、献血をしたことがあります。緊急で輸血が必要となった場合、現状では動物病院で飼育している子や同居のペットから検討する、もしくは周りに「供血」を呼びかけるしか方法がないんですよね。いろいろと難しい壁があるのでしょうか。


三本: 血液がマッチするかなど、輸血するにも条件があるので、事前に登録して細かく診断していく必要があります。その上、血液を保存する設備や管理などの費用もかかりますから、簡単なことではありません。多くの病院が頭を悩ませているのに、非常に遅れている部分です。


天野: 大きな仕組みができればいいですね。


より多くの動物たちが安心して迎え入れてもらえるように


髙野: これまでさまざまな事業をなさってきて、今後の展望などはありますか?


三本: 色々あります(笑)。ひとつは規模の拡大です。現在の年間の譲渡数が80~100頭ほどで、この「ペットと暮らそう」には常時十数匹がいるという規模ですが、今後はもっと拡大していきたいです。

さらには、誰もが不自由なくペットと暮らしていける社会づくりのために、里親さんが安心して迎えられるよう、ほかの団体さんが譲渡する子達の健康診断を受け付けるなど、柔軟に対応できれば。そのためには、業界につながる人同士が手をつないでいく必要があると思います。


髙野: 里親さんに迎えてもらう数を増やせるような、効率的な方法を考えていければ良いですよね。これまでさまざまな例を見てきましたが、一時預かりボランティアさんとの連携で、とてもうまく回っている譲渡会がありました。

20~30人のボランティアさんが一人一頭ずつ、会場に預かり犬を連れて来て、見に来た方に医療診断の結果やその子の性格まで、じっくり一対一で話してくれるのです。探しに来た方とその場にいるワンちゃんとがマッチすれば、譲渡に進めるというものでした。

主催は全体をマネージメントする役目です。動物共生推進事業さんがボランティアさんのプラットフォームになってくださったら、多くの保護団体さんが助かるんじゃないかなあ。


三本: なるほど、いいですね。


髙野: もう一つは、病院と行政が連携を取れている例です。獣医師、ボランティア、保護団体が県庁の下に一堂に集まっていて、非常に活気がありました。

よく、病院や行政から「保護団体となかなかつながれない」という声を聞きます。個人レベルでやっておられる団体だと連絡先も公表できなかったり、そもそも日々の世話で手一杯で連携したくても時間が取れなかったり、というケースもあります。 ほんとに現場は大変なんです。


三本: そうですね。私たちで言うと、病院はもちろん行政とも連携しており、さらに病院を利用する保護団体さんとも繫がっていますから、横のつながりは出来てきているかな。

いまは多くの人が集まるイベントの実施は難しい状況ではありますが、各団体さんのポリシーを尊重しながらつながっていければいいですね。


髙野: 統一の基準を打ち出していくことも大切ですね。


三本: それはぜひやりたいと思っています。いまだに「保護犬ならタダでしょ」と思っておられる方もいるので、保護動物の価値を上げていくためにも譲渡費用を明確に打ち出すのも一つかもしれません。「それでも飼いたい」という方が来てくだされば。


髙野: 小さいところから始めて、少しずつ実績を重ねて行けるといいですよね。



ペットの現状について、話には熱がこもる (左)三本さん、(右)天野


アフターコロナのつながり方


三本: ここに来る動物は、つながりがある保護団体さんから多頭飼育崩壊の保護要請があって引き取るケースのほかに、愛護センターからの保護、一般の方の飼育放棄などの理由から引き取ることもあります。最近では、動物愛護法の改正案を受けて、廃業を考えているというブリーダーさんからの相談も増えています。ブリーダーさんの中には兼業で繁殖を行っている方や髙齢の方も多いので、「この機会に廃業しようか」と。全体の3割くらいになるのではという話も聞きます。


髙野: 今回の改正案では、一人当たりの飼育数などの他に、ケージの広さなども対象になっていますね。動物との生活が担保される未来が描けるのか。難しい状況だと思います。新型コロナウイルスの影響で出会いの場が極端に少なくなっていますし、動物との「共生」へ進むスピードが失速しそうです。


三本: そうですね。いまはイベントの開催ができないので、保護犬を迎えたいという方たちが積極的に里親募集のホームページに来てくれない限り、なかなか出会いを作れない状況です。ここにいる子たちも、お披露目の機会が大幅に減っています。

発信する場が限られているので、オンラインを使った譲渡会も考えています。お見合いまではできなかったとしても、団体の活動紹介をしたり、動物たちの動いている姿を見ていただいたりできれば。


他の団体さんと一緒に、YouTubeでリアル配信することも考えています。イベントの譲渡会ではそこに来た人しか見られませんが、オンラインなら遠くの人でも参加できるので、静止画だけとは違う良さがありますよね。「いま」の形に合った発信を模索しているところです。


髙野: いいですね。このような状況だからこそ、オンラインは「いま」やり始めてみるのがいいと思います。今後はアナログとデジタル、両方の良いところが残っていくでしょうから。


三本: そうですね。新しいやり方でさらに広げることができれば。どう発信していくかが課題です。私はアナログ人間なので、petomoniさんに相談したいです(笑)。


髙野: 映像方面すべてできますよ。固いものからおしゃれなものなど、幅広い実績がありますので(笑)。動画を使ったアウトプットをどんなものにしたいのか、枠組みを考えてやっていけるといいですね。


動物たちとの生活とは


髙野: まとめになりますが、三本さんは人も動物も楽しい社会というのはどういうことだとお考えですか?


三本: 「豊かな生活を送れる」ということではないでしょうか。不自由がない、という。

やはり何かしらの制限や不自由に感じることがあると、心から楽しめないですよね。ペットと一緒にいたいと思っている方が、不自由なくペットを飼える環境を整えられたらいいなと思います。


天野: 動物と暮らして得られることは多いので、年齢や住居などの制限で諦めなくてはならない人がいるのは残念ですよね。動物との生活で満たされるということを、発信していきたいですね。


三本: 動物といると、心が豊かになりますよね。動物といると、「オキシトシンホルモン」という幸せホルモンが出るらしいですよ。それに、動物と一緒に暮らす人が増えれば、生活にもメリハリが出ますし、思いやりの心を持った人も増えるのではないかと思っています。


髙野: 動物と「共生」する社会にするためには、どうなればいいでしょう?


三本: まず、子供のうちから動物を身近に感じさせることがとても大切だと思います。

今は小型犬や猫でも触れない子供が結構いるので、子供と動物が触れ合えるイベントなどが増えたらいいなと感じます。子供の時に苦手意識を持ってしまったら、大人になって動物に興味を持つことって難しいですから…。そうなると「共生」どころじゃないですよね。


髙野: 「共生」と言葉で言うのは簡単ですが、例えば一緒に行ける場所が増えるためにはしつけや健康管理が欠かせませんし、そういう具体的なこと一つ一つに集中していくことが大切ですよね。


三本: ゴールがあってこそ、そこに向かっていくのでしょうけれど、ゴールがイメージしづらい、というのはありますね。


天野: 達成した例はまだないですからね。



「ペットと暮らそう」に掲げられた「5つのFreedoms」 

①飢えと渇きからの自由 

②不快からの自由 

③痛み・怪我・病気からの自由 

④恐怖や苦悩からの自由 

⑤正常な行動を表現する自由


三本: 飼い主さんとワンちゃん、ネコちゃんたちが「幸せ」と思ってくれたら、それが一つの正解かな。あとは、この動物の5つの自由「5Freedoms」が守られていれば。


髙野: この5つの「Freedom」はよくできていますね。この5つが達成できているというのがゴールと言えるかもしれませんね。


三本: ありがとうございます。とにかく安心して里親さんの元に送れる仕組みを作れれば、それが一番ですね。

それにしても、petomoniさんは写真を撮るのが専門ということなのに、とても深く動物たちのことを考えているんですね。私にとっても勉強になりました。


髙野: 私が動物の写真を撮り始めたのは、言葉ではなく「感じる」コミュニケーションを育てたかったからなのです。「動物とうまくコミュニケートできる人は、人間ともうまくできる」というのが持論で。写真では「その時、あなたは確かにそこに居た」ことをそのまま表現したいと思っています。


三本: なるほど。日々の生活に流されるのではなく、一瞬一瞬を大切にするというのは素敵なことですよね。そこに気づくかどうかで、接し方も変わってきますね。ワンちゃんが「その日その場所にいたこと」を考えられれば、自分自身の生き方も変わってくるような気がします。

本当に、動物たちから学ぶことも多いです。犬・猫たちとずっと関わっていられるのは、幸せだなあと思います。最近では息子やその友達も「同じような仕事がしたい」と言うようになりました(笑)。


髙野・天野: それは頼もしいですね! 今日はどうもありがとうございました。


マスクを外して集合写真 左から髙野、看護師の梅谷さん、三本さん、天野


「動物共生推進事業」さんには『petomoni(ペトモニ)』から寄付金をお渡しした。

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